IR機能の強化と異分野融合指標の開発 IR支援


統数研では平成28年度以降、大学・研究機関における研究戦略への情報提供を目的とする「研究IR(Institutional Research)」の方法論について統計学的見地からの確立を目指し、公募型共同利用の重点テーマを中心に多角的に取り組んできました。特に「従来指標では捉えられない異分野融合研究の進展状況を可視化する方法の開発及び活用」を目標とし、「異分野融合の進展や効果を公正かつ適切に評価するための新指標の研究開発」を行ってきました。この開発では学術文献グラフデータベースが活用されています。このページでは新たに開発した指標、「多様性指標(REDi, Research Diversity Index)」の成果を紹介します。統数研では実際にこの新指標を公募型共同利用・共同研究の重点テーマの設定におけるレポーティングに活用しています。


多様性指標(REDi, Research Diversity Index)とは

「研究の質」を定量化する技術の開発はこれまでも様々な形で行われてきました。そのなかで代表的なものは個々の論文や学術雑誌の引用数に基づくものです。 これらは主として研究の「インパクト」を測るために用いられており、その研究の直近(数年程度)の評価や各学術分野内における波及効果を見るには有効といえます。 一方、研究者の自由な発想に基づく萌芽型の研究や新たな異分野研究の研究テーマを評価するには「他分野との関係性」を考慮する必要があります。 これは統計科学の多方面、多角的な発展を目指し、ボトムアップ型・萌芽型研究を支援するための公募型共同利用事業を運用する共同利用機関の統数研では特に重要な観点です。
そこで研究グループは「異分野融合の進展や効果を公正かつ適切に評価するための指標」を開発するにあたりその指標が備えるべき要件を以下のように設定しました。

  • 「論文単位で」かつ「書誌情報だけで」算出できること
  • 分野間の論文数の偏りを適切に補正できること(分野間比較)
  • 中長期的な影響を測定できること
これらの要求を満たすように、以下の要素技術を使って指標を構築しました。
  • 確率的ブロックモデル(引用ネットワークのクラスタリング)
  • 自己相互情報量(分野間の論文数の偏りの補正)
  • 大規模書誌グラフデータベースの整備
この多様性指標を用いることで右図のように同程度の引用数の論文同士であっても、分野間の距離を考慮した上で、 散らばりの度合いを可視化することができます。1)、2)の図では論文自身の分野(潜在的学術分野)を中心に他の分野との軸を放射状に配置しています。 色分けされた各線上の円はクラスタごとの引用論文の大きさを表します。より遠い分野からの引用は中心から離れて配置されています。



REDiロゴ
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REDiサンプル1
REDiスコアが高い論文
REDiサンプル2
REDiスコアが低い論文

確率的ブロックモデルと自己相互情報量を用いた論文評価指標


多様性指標を活用した評価事例


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